ケータイの乗り換え相談に乗っていると8割ぐらいの確率で「どこを選んだらいいのか、その選び方がまずわからない」と言われます。
僕もそれには100%同意で、それは消費者の知識が無いからでも、女性が機械が苦手だからでもありません。
間違いなくその原因を生み出しているのは、通信キャリア側のプラン設定にあります。
目次
びっくりするぐらい同じ「UQ・楽天・Ymobile」の料金プラン
まず、この衝撃的な図を見てください。
これがUQモバイルの料金プラン(2018年5月30日現在)

次にこれが楽天モバイルの料金プラン(2018年5月30日現在)

そしてこれがYモバイルの料金プラン(2018年5月30日現在)

ねぇ、あんたたち競争する気あるの?
料金も1,980円・2,980円・4,980円で同じで、GB数も2GB・6GB・14GBで同じで、しかもプラン名までS・M・Lで同じとか、三つ子かよ!!
割引後の値段も一緒だし、基本使用料金も一緒。さらには契約から一年以上経つと、表示金額よりも1,000円あがることを※印でちっちゃく書いてあるところまで一緒!
こんな差別化の無い価格競争見たことあります?
そりゃ選べるわけないですって。ほぼ同じなんですもの。
やってることはau・docomo・SBと一緒。
この光景どこかで見たことありませんか?
そう、あの大手3社ですよ。彼らもまた「全く価格競争をするつもりがない」キャリアです。
現在(2018年5月30日現在)の骨組みは3社とも同じで基本的には
基本使用料+通信接続サービス+データプラン
で構成されており(1,700円 or 2700円)+(300円)+(使用するGB数に変動)となっています。
恐ろしいのはこの、(1,700円 or 2700円)+(300円)+(使用するGB数に変動)の値段がほとんど一緒になっているということ。
ねぇ、あんたたち競争する気あるの?(2回目)
もうね、そりゃ選べないですって。
唯一ソフトバンクがギガモンスターだとか言って差別化を図っているように見えますが、50GB契約するならデータ通信契約しないで、WiMAXとかの通信容量制限のないWi-Fi契約した方が断然安いですからね。
そもそも格安SIM流行の目的は自由競争にある
そもそも格安SIM携帯が流行り出した背景には、「大手3キャリアが通信市場を独占しすぎていて、独占禁止法に引っかかる恐れがあるから総務省が自由競争を促そうとした」という事情があるのです。
日本の通信市場はとても特殊で、北朝鮮ですら4社あると言われている通信キャリアが3社しかなく、新しい業者が入って来にくい市場を作ってしまっていました。
それに拍車をかけたのが、SIMロック端末販売と2年縛り契約です。
詳しい説明は省きますが、この2つの制度(というか巧妙なビジネスモデルというか)を作ったことで、ユーザーは端末代金を安く仕入れる代わりに、2年更新の自動契約という蟻地獄に巻き込まれることになったのです。
端末市場において,MNO各社が販売する端末のシェアは9割を超え,また,前記販売方法がMNO各社によって並行して採られているという状況を踏まえれば,前記販売方法が,MVNOの新規参入を阻害し,又はMVNOの事業活動を困難にさせる場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占等)ー公正取引委員会のHPよりー
長期の契約とそれに伴う中途解約時の不当に高い契約解除料等によりユーザーを囲い込むことは,競争政策の観点からは望ましくない。
したがって,中途解約に伴う契約解除料をユーザーから徴収しないこと,又は契約解除料を徴収する場合であっても,契約解除料を必要最小限にすること,契約解除に係る手続を明確かつ簡易にすることが,競争政策の観点から望ましい。
また,MNOが,ユーザーに対して長期契約の割安料金を提示し,ユーザーが中途解約することが困難な程度に契約解除料を不当に高く設定する場合には,独占禁止法上問題となるおそれがあるー公正取引委員会のHPよりー
競争政策の観点からは,MNOは,端末へのSIMロックの設定をしないことが望ましい。また,SIMロックの設定をすることにより,競争事業者とユーザーとの契約の締結を妨害する場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある(私的独占,取引妨害等)ー公正取引委員会のHPよりー
※以上、太字は著者がつけました
※ここでいうMNOとはau・docomo・SoftBankのこと、MVNOは格安SIMの会社だと思ってください。
要するに、
SIMロックと2年縛りが諸悪の根源だよね、ってことです。
大事なのでもう一度言いますよ。SIMロックと2年縛りが諸悪の根源だよねってことです。
歴史はまた繰り返されるのか?
さて、ここでもう一度、UQモバイルのプランを良く見て見ましょう。

契約満了月の翌月に解約のお申し出がない場合、さらに2年間の契約として自動更新されます。契約満了月の翌月以外に解約された場合は、契約解除料(9,500円)がかかります。
いやいやいや、それ思いっきり2年縛りやりやんけ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
「2年縛りは良くないよね」ってコンセプトで始まった格安SIMが率先して2年縛りやってどうすんの?と僕は問いたい。
通信キャリアは基本的に権利収入が収入源なので、いかに長く使ってもらうか?を考えなくていけません。
その手段として考案されたのが「契約時にめちゃくちゃお得な思いをさせてとにかく契約を取る。あとはいかに長期的に何も考えずにいてもらうか?の仕組みを引く」という方法です。
2年縛りもここから考えられた仕組みなのです。
ちなみに2年縛りこそないものの、楽天は長期優待ボーナス(6月14日まで)と称し、2年・3年と長期契約するとキャッシュバックがあることをうたい、Yモバイルはこれまた長期割引と称し2年以上の契約で1,000円安くなることをうたっています。
これ、本質的には2年縛りと同じだと僕は思っています。全然ユーザーの気持ちになってないじゃんって思うんですね。
いち企業の姿勢としてどうなのよ、と。
そんなことやってたら本来の自由な競争にならないでしょ、と。
というわけで、会社のプランに2年とか24ヵ月とかの文字が出た時点で、その会社の姿勢を疑った方がいいと僕は思います。
今こそ、消費者に企業を「選別する目」を持って欲しい
ちなみに、そう言った小賢しいことをせず、シンプルな料金設定をしている会社もちゃんとあります。(Xモバイル・マイネオ・LINEモバイル・イオンモバイルなど)
安さで選ぶのも確かに大事ですが、安さの裏には理由がちゃんとあります。
その理由をきちんと理解した上で選べる消費者が増えて欲しいなと思っています。
ちなみにここまで読んで「じゃぁ私にぴったりなプランはどこの会社のどれなの?」と思われた方は、「CONTACT」ボタンからメール飛ばしてもらえれば教えますので、気軽にお尋ねくださいね。(著者プロフィールに記載されているフェイスブックやツイッターのDMでも可)
通信業界がきちんとした競争が行われるようになることを祈っております。