先日の講演会は初めての男子会。女子禁制というルールのもと、普段は女性の講師の方がやるパートを僕がやらせてもらえることになりました。
自分を変えてくれたきっかけを、今度は自分が与える側になる責任
他の記事も書いていますが、この講演会は僕の人生を考えるきっかけになった講演会です。
当時の僕は2011年の東日本大震災にショックを受け、「人が簡単に死ぬ」光景を初めて見ました。ボランティアにも参加しましたが、一番に感じたのは自分の無力さでした。
物質的な支援ができるお金もなければ、助けを呼べる影響力もなく、落ち込んだ人たちの心を勇気付けるパワーもない、ないないづくしの自分が本当に情けなく、そして無力に感じました。そんな中、幼馴染に誘われたのがこの講演会です。
「何かを変えたかった」
今思えばそんなふわっとした気持ちだったと思います。明確に「これを変えるために」という意志があって参加したわけではありません。でもそこで「やり方とあり方の違い」を聞いて、完全に「どうしたら芸能界で売れることができるのか?」というやり方の追求をしてしまっていた自分は、衝撃を受けました。
この「あり方」の話を聞いていなかったら、僕は今の人生を歩まずに、売れるかどうかもわからない芸能界で今もまだもがいていたのかもしれません。
そういうきっかけを今度は自分がする番になった。嬉しい反面、ものすごいプレッシャーでした。
与えられている時間は10分。メイン講師の細金さんに比べたら非常に短く責任も少ないパートです。でも、この話を聞いて自分の人生のあり方を考える人がいるかもしれない…と思うと、不安で不安で仕方がありませんでした。
これまでたくさんの方が講演会に来てくださっています。もちろん、「いい話聞いた」で終わる人がほとんどなのは間違いない事実ですが、もう片方で確実に人生を変える選択をした人がいたのも事実。
そんな人生の意思決定を左右するような話をしなくてはならない。そう思うと緊張でもう吐きそうでした(笑)
後日談だからよかったものの…
実はこの会に、スタッフのうちの一人(石井菜美子さん)のお父さんがきていらっしゃいました。
彼女は小学校の先生という立場をやめる決断をし、独立の道を歩んでいます。娘を公務員の道に進ませるような価値観のお父さんですから、きっとこの講演会ついては「大事な娘の人生の歯車を狂わせた場所」ぐらいに思っていたのかもしれません。
そのお父さんが聞きに来る。しかもその肝心の娘がいないという。
おいおい、初舞台のハードルにしては無理ゲーすぎやしないか?
というのも、僕の両親もまたこの講演会で自分の人生を考え、退職後のあり方を決め、そして僕ら兄弟の未来を応援してくれるようになっていたので
自分の話し方一つで、もしお父さんの信用を失ったとしたら責任重大もいいところ。マジで勘弁してくれと思いました。
…と、言いたいところでしたが、実はそのことの重大さに気づいたのは講演会が終わった後だったのです。スタッフのお父さんが来る、というのはもちろん前日ぐらいにはわかっていたのですが、僕はいい意味で鈍感で、そのことの重大さに気づいてなかったのです。(というか緊張でそこまで意識できる余裕がなkっただけ)
講演会が終わった後の振り返りで、講演会の裏で父と娘二人でじっくり話していたことを知り、そして親子の絆が深まったことを知った僕はそこで初めて「事前にことの重大さに気づかなくてよかったーーーーー!」と心底安堵したのでした笑
人の人生に関わる、という仕事の本質
人の人生に関わる仕事、というものはたくさんあると思います。転職しかりウェディングしかり、家を売る仕事も広義的には人の人生に関わる仕事です。ですが、僕はここまで本格的に人の人生に関わる仕事を他に知りません。
それはメッセージが「やり方ではなくあり方から考えよ」というものだからです。どこに就職するのか、誰と結婚するのか、どんな家に住みたいのか、それれは確かに人生を決定づける大きな要因です。しかしどこまでいってもその人の人生のやり方までしかしかアプローチできません。
でも、この講演会はその人の人生の「あり方」に訴えることができるし、訴えなくてはいけない講演会だと思います。どんなに着飾ったって運営側のあり方で、その提供できる付加価値が本物かどうなのか一発で見破られてしまいます。
そういうお前の生き方はどうなの?っていう質問を常に自分の喉元に突きつけられているような感覚。
だからこそ、僕はこの講演会のスタッフであり続けたいと思うのです。