トークイベントを大成功させるモデレーターに必要な3つの必須スキルとは?
geralt / Pixabay

トークイベントを大成功させるモデレーターに必要な3つの必須スキルとは?

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最近、いろんなトークイベントに参加することが多いのですが、その度に残念に思うことはモデレーター(ファシリテーター)のスキル不足によって、登壇者の良さが全く引き出されていない状況を目にすることです。

「せっかく企画のコンセプトと登壇者はいいのに、、、あぁそこでその質問しちゃう?わかってないなぁ」と思うことがどの会場に行ってもあるのです。

おそらく、モデレーターが何をすべき人で、どういう会になれば成功なのかのイメージが湧いておらず、ただやみくもにやってるだけなんだろうなと思うのです。そこで、今回はモデレーターとして、何をするのがベストなのか、をお伝えして行きたいとおもいます。

トークイベントにおけるモデレーターの役割とは?

まず、基本的なことからおさらいして行きましょう。そもそものモデレーターの役割は大きく言って、次の3つがあります。

  • オーディエンスが聞きたい、的確で良い質問をすること
  • オーディエンスを巻き込み、会場に熱を生ませること
  • オーディエンスにとって違和感がないように会を進行させること

言い換えると、モデレーターには、「インタビュースキル+会場の空気を読むスキル+司会進行スキル」の3つのスキルが必要であるといえます。

多くのモデレーターはインタビュアーか、司会かどちらかに徹してしまっており、かつ会場を巻き込むということを忘れてしまっているため、オーディエンスとの距離感が生まれてしまい、登壇者に何を言ってもらっても会場が盛り上がらない、という事態を招いてしまっています。

稀に、登壇者が面白い(トークスキルがある)と、モデレーターがしょうもない質問をしても素晴らしい切り返しで返してくれるので会場が盛り上がっているケースがありますが、それはモデレーターの腕ではなく、登壇者の腕によるものです。

モデレーターはどんな登壇者が来ても、会場を盛り上げられる。それがプロってもんです。ではそれぞれの役割について深く掘り下げて行きましょう。

オーディエンスが聞きたい、的確で良い質問をすること

モデレーターについていつも言いたくなることがあります。それは「登壇者についてもっと勉強してこい」ということ。事前の下調べが圧倒的に足りません。その質問、事前に調べていたら絶対しないだろう、という質問に時間を取りすぎているのです。

例えば、登壇者の人となりを知ってもらうために質問、あれはハッキリ言って無駄です。登壇者に自己紹介させるケースもありますが、登壇者に自らをいかにすごい人かを語らせるのは非常に酷です。日本人は謙虚ですから、もっとすごいところいっぱいあるに、その実績を隠してしまいます。

その結果、オーディエンスが「この人の話聞きたいぃぃ!」とならないのです。そうではなく、モデレーターが「登壇者のプロフィールをオーディエンスがこの人の話を聞きたい!」と思うようにしっかり紹介しなくてはならないのです。

そのためには、事前に登壇者のプロフィール・ SNSでの発信内容・HPに書かれていることなどありとあらゆる情報を調べて、その登壇者のファンになっていないといけないのです。この状態でないと良い質問をすることができません。 

良い質問とは、表面を撫でる質問ではなく、「なぜ」そうしたのか?という掘り下げる質問

優秀なインタビュアーなら誰しもが知っていることですが、良い質問は「WHAT」ではなく「HOW」や「 WHY」の形でなされます。オーディエンスが知りたいのは、「何をしているのか?」ではなく、「どのようにしてその困難を乗り越えたのか?」「なぜ、その決断をしたのか?」という生々しい話なのです。

この深く突っ込んだ話をすることによって、登壇者がひくぐらいイキイキとそのストーリーを話してくれます。なぜなら、その突っ込んだ質問こそ、登壇者が話したい話の核心をつくことができるからです。そしてこれが会場の熱を生み出す、最初の火種になるのです。

オーディエンスを巻き込み、会場に熱を生ませること

僕の大好きな『キングダム』という漫画に、こんなシーンがあります。将軍が戦局を見きわめる上で「どこで炎が起きるのか?」を嗅ぎ取っているというシーンです。漫画の詳しい説明は省きますが、「場」には「熱が生まれる瞬間」があります。

この熱を敏感に察知し、そこに薪をくべて、熱を大きな炎(エネルギーの渦のようなイメージ)に変えられるかどうか、それもモデレーターにとってとっても大事なスキルの一つです。

具体的には、先ほどの良い質問によって登壇者が発するエネルギーが火種になります。そして火種が生まれた時には、オーディエンスの中にその火種を受け取った人が何人か現れます。その時に、すかさずそのオーディエンスが聞きたいであろう話を汲み取り、次の質問を振っていくのです。

具体的には「お、今のは〇〇さんのまさに核心に触れるポイントだと思うのですが、そこの経緯をもう少し詳しくお話いただけますか?」という深堀りの質問と、「なるほど、〇〇さんにとっては△△が非常に重要なポイントになったんですね」という合いの手と気の利いたまとめのようなものを繰り返していくイメージでしょうか。

オーディエンスにとって違和感がないように会を進行させること

そして3つ目。ポイントは「進行をすること、ではなく、オーディエンスにとって違和感がないように進行させること」です。会の進行には違和感のある進行と、違和感のない進行があるのです。

違和感のある進行は、プログラムとプログラムの間がぶつ切りになってしまっている進行です。一番良くないのは「トークが盛り上がっているところ恐縮ですが、次のトークテーマに移りたいと思います」といったような半強制的な進行の仕方です。

逆に違和感のない進行とは、プログラムとプログラムとの間に隙間のない、ストーリー性や連続性のある進行のことを言います。例えば、あるトークテーマから別のトークテーマに移るとき、前のトークテーマで出て来た学びなどを繋げる方法があります。具体的には

「さて、今のトークテーマでは、理想のキャリアを手に入れるにはまずは様々な経験をすることが大切だというお話が共通してありました。そうなると次に考えるべきポイントは「誰と」その経験をするのになるかと思います。そうなると次のトークテーマは「仲間選び」についてお話いただきたい思いますが、まずは〇〇さん、仕事をする上でどんな人と仕事をすることを大事にされていますか?」

といったような進行のさせ方が考えられます。こういう進行をさせると、様々なトピックに関係性が持たせられ登壇者の話す内容に一貫性が出て来ます。そうするとオーディエンスは登壇者の人柄や価値観に触れることができるのです。
 

まとめ

以上、モデレーターの役割についてまとめてみました。

  • オーディエンスが聞きたい、的確で良い質問をすること
  • オーディエンスを巻き込み、会場に熱を生ませること
  • オーディエンスにとって違和感がないように会を進行させること

すでに気づいていることだと思いますが、この3つの基礎に共通するのは「オーディエンスの為になっているのかどうか?」ということです。モデレーターの多くは登壇者に視線が向いており、どうしたら気持ちよく話せてもらえるか?という思考に囚われてしまっています。

しかし、モデレーターの視線は絶対にオーディエンスに向かってなくてはならないのです。オーディエンスの満足度を上げるために、登壇者からいかに面白い話を引き出せるのか?それがモデレーターの果たすべき役割なのです。

川口 美樹

俳優業からの独立。現在は執筆・企業研修・ワインのインポート・300人規模のイベント運営などいくつか個人でやっています。子育てする時間も欲しいので、株式投資や不動産の分野も勉強中です。気軽にフォローしてくださいね。