2011年、6月某日僕は勝どきの区民館にいた。
ある会議室の立て看板には「人生戦略セミナー」と書いてある。
「あれ、なんか怪しいとこに来ちゃったかな?汗」
これが、後の僕のライフワークになる講演会の最初の印象だった。
東日本大震災の3ヶ月後のタイミング
当時はまだ、東日本大震災のあとの自粛ムードが日本全土を覆っていた時期だったように思う。
大学を卒業したての僕は、目と鼻の先で起きてる事実を本当の意味で受け止め切れていなかった。テレビから流れる被災地の映像を見ながら、「本当にこのまま役者を目指していていいのかな…」となんとなく思っていた。
そんな折、幼馴染に誘われ飲みに行くことになった。
大学卒業の年だったので、おのおのこれからどうしていくのか、みたいな話をしていたが、
僕がポロリと「なんかさぁ、このまま役者目指していいのかなぁ」って思ったんだよねぇー、なんて話をしたところ、その幼馴染は「最近ツイッターすごい更新してるよね。ニュースとかリツイートしてたけど、経済の動向とかって興味あったりするの?」と聞いて来た。
当時僕は、何か自分にできることはないかと、ツイッターで震災の情報を見て、必要な情報があれば拡散するようにしていた。
「まぁね。」と答える僕に、幼馴染は、「だったらさ、こないだ面白い講演会行って来たんだけど…」と言ってくれた。
人生戦略セミナーで受けた衝撃
気づいたら僕は一番前に座って爆笑していた。
当時は20人くらいの会議室で(いまの300人規模が本当に信じられない)やっていたので、講師にも他のお客さんにも、「うるせぇやつが来たぞ」なんて思われていたかもしれない。笑
でも、ただただ、面白かった。細金さんのトークに完全に魅せられてしまった。
そして、考えさせられた。日本のこれからと、そして、自分のこれからに。
講演会の中身はあまり覚えていないのが正直なところだが、実は僕はその後の懇親会の方が強烈に記憶に残っている。
僕はそこでこんな質問をした。
「もし、細金さんが、本当に俳優になりたいと思ったとして、俳優を仕事にしようと思いますか?」
絶対にやらない
即答だった。それが僕にとっては衝撃だった。その回答が、「好きなことを仕事にすることと、幸せになることは全く別のことであり、両立させることができる」ということ初めて知った瞬間だった。
スタッフとして関わるようになったわけ
あれからもうすぐ6年が経とうしている。僕は講演会のスタッフになった。
そして、来ていただいた方に聞かれる立場になった。
「タレント業を続けていこうと思ってるんですけど、やはりお金をきちんと稼げるのかが不安です。」
「好きなことで稼ぐのと、稼ぎながら好きなことをするのと、どっちがいいですか?」
「え、どういうことですか?」
「僕はね、演技やお芝居は大好きですけど、それを仕事にして稼ごうとは思わないんです。」
「これからもずっとですか?」
「はい、仕事では絶対にやりません」
◆◆◆
僕は、俳優をやろうってぐらいだから、好きなことを仕事にしようとしていた方だと思う。
だけど僕は、6年前、好きを仕事にすることを辞めた。変わりに、稼ぎながら好きなことを追求できるようになった。
いまなら、6年前、あのサイゼリヤで細金さんに言われたことの意味がわかる。なぜか?
それまた別の機会に…(to be continued)