サステナクリエーションファミリーvol3『ゴリアテ』
行ってきました!主催を努めるのが我が兄の川口京祐でございます。本人曰く、今回は「自分の全てをつぎ込んだ」ということで、観る前から楽しみにしていたのですが、
控えめに言ってめちゃんこ面白かった!
ので、その感想を書いて行きたいと思います。
あらすじ
- アダムとイヴ的(”ひとりめ”と”ふたりめ”)な二人が世界を作るところからスタート
- 二人は、この世界を平和で素晴らしいものになるように願った
- 人類が初めて作った国家ができた時、そこには3つの決まりごとを作った
- その3つとは「奪うべからず」・「傷つけるべからず」・「つなぎ留めるべからず」というもの
- しかし、人類が「お金」という概念を作ってしまったがゆえに、世界は争いの絶えないものになってしまう。
- その様子をみて嘆いた創造主の二人は、自ら世界(現世)を変えに生まれ変わることを決意
- 時代は変わって、現代へ。各大陸の代表が集まる世界会議。
- 議題は「貨幣制度の廃止」および「電子通貨への完全移行」
- 各国の軍事力・技術力・経済状況などから意見は真っ向に対立
- 創造主(の生まれ変わり)の二人は、なんとか平和的に世界をまとめようとするが、、、
- 最終的には、意見はバラバラになり、新しい戦争の開始を匂わせたまま解散
- 失望の淵に落ちた”ひとりめ”。”ふたりめ”はそこで二人を生み出した本当の”ひとりめ”に出会う
- そうして世界をもう一度だけ作り直すことを誓った”ふたりめ”。
- その時に提示された条件は、たった一つ。
- 「どんな世界になったとしても、見守ることに徹すること」
細かいところは違うかもしれませんが、だいたいこんな感じです。
この舞台で伝えたいテーマは何か?

この舞台で、鍵になるのは、最初の人類が作った、「奪うべからず」・「傷つけるべからず」・「つなぎ留めるべからず」という3ッのルール。
確かに、これが守られれば、一見世界は平和が維持されそうな気がします。しかし、皮肉なことに、創造主の二人は、今の世界を自分たちの世界に「つなぎ留め」ようと世界を変えにきてしまった。
結果、”ひとりめ”(の生まれ変わりの議長)が、「奪おうとする国」や「傷つけようとする国」の代表を非難したことによって、その国の代表の逆鱗にふれ、世界戦争へ繋がって行ってしまいました。
皮肉ですなぁ…
世界を平和に「させよう」としてしまうあまり、それをよく思わない人たちの反感を買い、結局は仲違いさせてしまう。
この舞台での現世の人たちは「貨幣制度の廃止」が世界平和に繋がるかもしれないという希望を抱いていましたが、この人間ドラマを見ていると、貨幣があってもなくてもきっと戦争は起きていただろうし、逆に貨幣制度を維持したまま平和にもできたかもしれない、と思います。
そう考えると、「世界平和を願うこと」と「世界平和を強いること」は全く違うのだなと思います。周りにもいるじゃないですか、仲違いしているふたりの関係を取り繕うとして失敗する人。あれも仲直り「せさせよう」とするから失敗してしまうわけで。
では、どうしたら世界は平和になるのか?その答えは、「誰もが誰をも繋ぎ留めようとしないこと」にあるのかもしれない。そんなメッセージを僕は受け取りました。深くないですか、これ?繋ぎ留めようとすることいっぱいあるじゃないですか。もし、それを完全にしなくなれたら。自分の人生はどうなってしまうんでしょうね。
大事なのは「どうなってしまっても見守ること」なのかもしれませんね。
個人的に好きだったシーン
後半は、ワンシーンで役者さんたちが出ずっぱり、ひたすら討論を続けるという、構成でした。この形式で一番有名な作品は「12人の怒れる男」でしょう。ヘンリー・フォンダ主演で映画化もされている、不朽の名作です。(ウィキペディアはこちら)
僕、これ、めっちゃ好きなんです。出ずっぱりの芝居。
もうね、役者の力だけで引っ張っていくスリルと臨場感。「ホンモノ」じゃないと成り立たせられないんですよね、この形式って。役者そのものの力が見事に露呈する。だからこそゾクゾクする、最高の舞台(だと僕は思っています)です。
やってる役者の方も、シーンが途切れないから、感情も乗ってくるし、本当にその役になりきる感じになってしまうので、演劇の面白さをこれでもかと語ってくれるものではないでしょうか!!
この中でも主役のお二人とは別に、めちゃめちゃハマり役立った役者さんがいたんですよね。もうね、「この役、この人にしかできないんちゃうのん?」って思うぐらい、サイコーの芝居でした。久しぶりに芝居やりたくなっちゃったなぁ。いい脚本に出会うと演じたくなってしまう、それが役者っていう生き物です。
終わりに
この舞台は、生演奏とダンスも組み合わされた総合エンターテイメントだったのですが、まぁよくもこれだけの世界観を一つの舞台に詰め込めたなと思うほど、音楽もダンスも完成度が高く、「自分の全てをつぎ込んだ」と言い切った兄の言葉に納得したわけです。
こういう舞台がもっと身近になれば、日本の演劇も変わっていくだろうなー。そんなこんなで、「久しぶりにいい芝居を観たなー」という余韻に浸って、池袋の劇場を後にしました。